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【25】中国映画の性と「寵愛」

 中国映画界には等級指定がない。香港映画界には1級、2A級、2B級、3級とあるので、中国映画が香港で上映されると、年齢制限のない1級を指定されることが多いぐらいのことで、検閲を通る中国映画においては性や暴力に関する過激な描写は抑えられているのだが、そこは監督たちの工夫のしどころ。揺れるコーリャンやら足たたきやらで表現されたほの暗く濃厚なエロスは、制限の賜物とも言える。

 検閲に通った中国映画としてはめったにないことに強姦を題材にしている「非常夏日」(監督:ルー・シュエチャン(路学長)、出演:マー・シアオチン(馬曉晴)、パン・ユエミン(潘粤明)、00)は、強姦シーンをあからさまに撮ることが出来ないため、まな板の上でさばかれる魚、赤いソースにまみれて食卓に出された魚をメタファーとして使っている。ルー・シュエチャンは、強姦シーンをもっと残酷に撮ることが出来たら登場人物のその後の心理描写に深みが出て国際映画祭に出せるレベルになったのに、と語っているが・・。

 そして去年公開された「庭院里的女人」は、中国初の成人映画と喧伝されたが、その実態は、広東の配給会社が自社のポスターに「16歳以下は入場不可」、大連の会社は「18歳以下は不可」と、主に宣伝のために勝手に銘打っただけで、検閲は何も指示していないのだった(私の購入した広州音像出版社発行のVCDにも、16歳以下は鑑賞不可としっかり書いてある)。

 「庭院里的女人」は、中国・アメリカ合作、原作:パール・バック、監督:イム・ホー(厳浩)、出演:ルオ・イエン(羅燕)、ウィレム・デフォー。アメリカ製中国風映画(封建制度に縛られたエロチシズム)と、中国プロパガンダ映画(中国共産党軍と自由)の要素が合体したキテレツな映画である。話題のセクシャルな部分はどうかというと、他国の映画を観慣れていれば何てことはないという程度ではあるが、性的抑圧をほのめかすシーンが、子供さんにはどういう意味かわからないだろう。ちなみに中国版はアメリカ版より20分も短いそう。

 いっぽう韓国映画はコリアンエロスとか立派な歴史も持っているし、性表現についてはしっとり奔放な感じ。そして、性は開放しきるとドライになるものか。と思わせる映画が、3月16日から銀座シネ・ラ・セットで公開される「寵愛」(詳しくは公式サイトhttp://www.gaga.ne.jp/la_belle/へ)。白ずくめの小洒落た部屋に住み万年筆でご執筆する若い作家(男)が、冷たい恋人を持つヌードモデル(女)の避難所であることに耐え続け・・という設定だが、ただし、女の感情は男から見たものにすぎず、マゾっけのありそうな彼の妄想が入っているかもしれないところがミソだ。現代舞踏家アン・ウンミが振り付けしたというベッドシーンはさすがにフォームが美しく、ひたすらすべらかに美しく、そこにエロスは見えない。

(緑茶)


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