毎 周 電 視/中国語圏映画事情

【14】『情深深雨濛濛』Part.1

 香港・台湾・大陸でまんべんなく大ヒットするテレビドラマといえば、ジン・ヨン〈金庸〉原作の武侠ドラマか、チオン・ヤオ〈瓊瑤〉製作・脚本ドラマが定番だ。そのチオン・ヤオが1930年代の上海から太平洋戦争終結までを舞台にしたドラマ『情深深雨濛濛』(出演:ヴィッキー・ジャオ・ウエイ〈趙薇〉、ルビー・リン〈林心如〉、レオ・クー〈古巨基〉、スー・ヨウポン〈蘇有朋〉、2000)も両岸三地で高視聴率をあげた。

 大ヒットするには理由がある。チオン・ヤオはドラマ市場をかなり研究していると思われる。若くて綺麗な俳優を多く使うこと、両岸三地が文化と歴史を共有できる時代設定にすること、コメディとアクションを入れること、家族ドラマを軸に据えること。『情〜』のコメディ部分は、ドゥー・フェイ〈杜飛〉役のスー・ヨウポンが担当した。チオン・ヤオはすべって転んだ式のベタギャグを平気で連発するのでたまに寒いときもあるのだが、その他の行間も全てコミカル演技で埋めたスー・ヨウポンはさすが心得たものである。

 『情〜』は青年たちの惚れた腫れたが纏綿と続きはするが、骨格は家族ドラマだ。屋敷を出された第八夫人とその娘イーピン〈依萍〉(ジャオ・ウエイ)が、すったもんだしながら家長ルー・ジェンホア〈陸振華〉及び第九夫人の子供たちと和解していく。強烈な個性を持つ似たもの父娘・ジェンホアとイーピン、その雛形アルハオ〈爾豪〉、彼らは同類であるがゆえに反発しあい、ときには媒介をはさんで(ファン・ユイ〈方[王兪]〉とか)惹かれあう。

 恋愛面は怒涛ではあるが、ただ、恋する過程だけはやけにあっさりだ。男女ふたりが出会ったかと思うと、あれよあれよという間に愛の言葉を激しくまくしたて合うまで関係が進んでいる。目立つのは、一途な女性とぐらぐら揺れる男性、というカップル。シューホアン〈書桓〉(レオ・クー)はイーピンとルーピン〈如萍〉(ルビー・リン)、アルハオはファン・ユイとカーユン〈可云〉、ジェンホアは第八夫人と第九夫人の間でぐらぐらする。彼らの前にはゲームのように次々と障害が起きる。三〜四角関係の男女がごちゃごちゃ固まっているから面倒なことが続くのだ、とハラハラするあなたはチオン・ヤオの術中にはまっているわけ。登場人物は多いが、心のすれ違いやかすれ合いが細やかに描かれることはなく、彼らはプライバシーを捨ててお互いの感情をぶちまけ合い、運動会のように一致団結して障害を克服していく。視聴者は運動会の応援団と化す。

 チオン・ヤオは若い出演者たちのために彼らが把握しやすい役をふり、そして登場人物のキャラクターは俳優の魅力と合わさって、生き生きと立つ。チオン・ヤオのおかげで人気スターになったのは、ブリジット・リン〈林青霞〉に始まり、熱っぽいタレ眼で人気急上昇したシューホアン・レオ・クーまで、数知れず。役者とその演技ほかについて、次回に続きます。

(緑茶)


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