| 毎 周 電 視/中国語圏映画事情 |
|
|
|
テレビドラマ『像霧像雨又像風』でスターとなったチェン・コン〈陳坤〉は、南方アジアや西洋で美少年といって通りそうな、バタくさい顔立ちの中国新世代俳優だ。1999年、北京電影学院卒。デビュー作は、1930年代前半の上海を舞台に劇作家ティエン・ハン〈田漢〉の抗日運動を描いたウー・ズーニウ〈呉子牛〉監督『国歌』(1999)。ホー・ジョンジュン〈何政軍〉が、後の中国国歌となる「義勇軍進行曲」の詞を書いたティエン・ハンを(ただしティエン・ハンは文革で批判されたため詞は書き換えられた)、チェン・コンがその曲をつけたニエ・アル〈聶耳〉を演じた。 ニエ・アルは、日本に亡命中だった23歳のとき藤沢市鵠沼海岸で水死した人物だ。抗日運動に汗を流したニエ・アル、どんな気持ちで日本へ?と夭折の作曲家に興味を引かれるが、まあ『国歌』は国策映画なので、ややこしい心理探索は抜きである。死に様についても、ヨーロッパへ亡命する途中の日本で・・と字幕説明で終わり。そもそも『国歌』にはティエン・ハンを始めとしてユアン・ムージー〈袁牧之〉、ワン・レンメイ〈王人美〉など当時の上海映画人が多く登場するにも関わらず、文化は政治運動に付随するものとして単純に描写されており、文化風味は驚くほど薄い。文化をプロパガンダとためらいもなく捉えた映画を撮るウー・ズーニウ、もしや暗に自分の状況を訴えているのだろうか。なんて変な勘ぐりはおいて、『国歌』の見どころといえば、戦乱場面で傍らの人にへばりついて(いや支えているつもり)逃げまどうチェン・コンの可愛さである。 そしてチェン・コンの2本めの出演作が『像霧像雨又像風』(2000)だ。監督ジャオ・バオガン〈趙宝剛〉、出演はほかルオ・ハイチオン〈羅海瓊〉、ジョウ・シュン〈周迅〉、ルー・イー〈陸毅〉、スン・ホンレイ〈孫紅雷〉など。舞台は30年代の上海なので、奇しくも時代・地域設定が『国歌』と全く同じなのだが、こちらは不自然なほど政治の匂いがしない。恋愛100パーセントのドラマだ。このため、本来なら大変な時代に恋愛にうつつを抜かしてばかりとは不謹慎だ、浮世離れしている、現実逃避だと批判を受け、要するに国策に沿わないということで、大ヒットドラマでありながらその年の金鷹賞(テレビ賞)からシャットアウトされた。・・確かに緑茶も、大河少女マンガ風恋愛群像劇に観始めは少し引いたが、しかし血塗られた衝撃の最終回(もちろんこの血は戦争ではなく痴話沙汰によって流される)まで観終えたとき、「名作・・かも」とつい迫力負けしてしまったのだった。出演者は若手中心だが、何人かの演技は見応えがあるし、セッティングや撮影も華麗。 話題作が続くチェン・コン、新作はジョウ・シュン、リウ・イエ〈劉[火華]〉共演の文革青春映画『巴爾扎克和小裁縫』(フランス・中国)と、ルビー・リン〈林心如〉共演のテレビドラマ『非[イ尓]不可』である。
(緑茶)
[BACK] [日中ドットコムTOP] [中華迷TOP] webmaster@nicchu.com |