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未来の交通手段になるか?
上海リニアモ-夕-カ-(SMT)試乗記
 世界で初めて商業用営業路線としてのリニアモーターカーが上海で2002年12月31日開通した。この日午前の開通式テープカットには国務院総理朱鎔基やドイツからシュレーダー首相が参加し、浦東国際空港まで試乗した。2001年3月に工事を開始して2年弱の工事期間を経ての試運転開始しだ。そんなわけで、今回はSMTの試乗記をレポートしてみたい。
 このリニアの建設にはもともと3つの候補地が挙げられていた。北京、上海、深センの3箇所だ。その後2000年6月、ドイツとの合作により上海浦東を候補地に決定し、上海申通集団有限公司など8社の企業体がそれぞれ出資して出資額30億RMBの上海磁浮交通発展有限会社を設立した。
 SMTとはShanghai Maglev Transportationの略で中国語では磁浮列車と訳している。今回完成した路線は全長30キロ、地下鉄2号線の浦東側にある龍陽路から浦東国際空港をS字にダイレクトで結ぶコースで、設計速度は時速430キロ、投資額は89億RMBとなっている。今回の試運転では3両編成の1編成だけを用い、単線区間をピストン輸送する形になっている。すでに反対側の複線路線はほぼ完成しており、今回の試運転期間が終わると、2003年9月に正式開通し、2003年末には検査の末、全面供用になる予定だ。車両は3両編成が5編成投入される見込みだ。
 
1チケットの入手方法
 
 今回のチケットは6角の切手が着いた記念葉書付の記念切符で、まだオープンしていないものの一応上海磁浮交通科技ホールの入場券がついている。龍陽路駅から乗車すると浦東空港では下車できず、そのまま折り返して龍陽路へもどってくる。片道たった8分の超ミニ旅行だ。2クラス制になっていて、6列シートのエコノミー車と4列シートのVIP車の2種類で、額はそれぞれ150元と300元だ。
将来的に長距離路線にも登用したいという目論見だろう。今回は春節までの期間中の週末のみ一般市民もチケットが手に入れば乗車は可能だ。しかし筆者も乗車した2003年1月11日から2週間前ぐらいからかなり努力してチケットを手に入れたが、かなり入手が難しく、地元ニュースではこのチケットがダフ屋によって11枚1,000元で取引されているところもあるという。ちなみに1月のチケットはすでに完売だ。現在の運転本数は午前中に4本、午後に4本となっている。
 
● チケット予約先
1、 磁浮列車チケットセンター 磁浮列車龍陽路駅2階ホール
  電話:28907777 28907776
2、 上海城市規?展示館  人民大道100号
  電話:63722077 63184477 内線 226
3、 上海国旅       北京西路1277号
  電話:62892510 62892507
 
2、 モダンなデザインの磁浮列車龍陽路駅
   
 地下鉄龍陽路を下車して地上に向かうと磁浮列車龍陽路駅に出てくる。大きなアーチで駅すべてがそっくり囲われている。なんとなく空港のデザインに似ているような気もする。3階建ての建物は1階には準備中の上海磁浮交通科技ホールがあり、2階は改札口や切符販売窓口があり、発車20分前の改札開始まで、このホールで待つことになる。
 改札口には自動改札機が設置されているがまだ使用されていないようだ。駅前には駐車場が設置されており、多くの警官が警備に出ていた。いつものことだが、どっかの要人がまた乗車するのだろう。マスコミの数も少なくない。改札までの時間、耳を澄ましてみるといろいろな地方のなまりが聞こえてくる。「・・・書記」とか「・・・主任」などと呼び合うところから、こりゃどっかの役人さんも物見遊山で来ているのかな・・・と想像してしまう。
 今回はまだ浦東空港での下車が許されていないが、正式開通後には磁浮列車浦東国際空港駅から空港ターミナルまで150メートルの距離になる。1階に改札口があり、1階で乗車する形になる。この駅の上部には4星ホテルが建ち、将来地下鉄2号線が浦東空港まで延長すると、この駅もターミナルとしての様相を呈することになるのだろう。現在磁浮列車浦東国際空港駅コンコース周辺にはローソンやケンタッキーなどができ、今まで店が殆ど無く、物価の高い空港のイメージ払拭に一役買いそうだ。今後もさまざまな店がOPENする予定になっている。
 
3、 いよいよ乗車
 
 改札口でチケットを切ってもらう。もうすでに長い列が出来ている。別に全席指定というわけではないので、定員制でチケットを売っているのだろう。2階コンコースから3階プラットホームまではエスカレーターやエレベーターで結ばれているが、もし本当に沢山の荷物をもって空港に向かうのなら、結構歩かされるのでちょっとつらいかも。その意味ではまだ観光用、PR用の域を脱していないと思われる。ドーム状のコンコースは、非常に大きな空間が採られており、明るい。プラットホームの液晶テレビにはリニアに関するさまざま映像が流されていた。
 列車はまだ入線していない。多くの人が路盤を覗こうと近寄るが、そのたびに駅員の注意が・・・。そういう私もしっかりと路盤をみてきた。当たり前だが線路はない。それこそ平らなコンクリートの道路が続いているという感じだ。しかしこのコンクリの下には1万ボルト以上の電気が流れているという。
 10:00AM列車が入線してきた。もっと滑るように入ってくるのか期待していたら、結構な音である。「ヴーン」というモーターのような音とともに流線型のドイツ・シーメンス社の白い車体の列車が入ってくる。各車両の入り口には「小姐」がたっていて、チケットのチエックを受けるといよいよ乗車だ。
 デッキの部分や車両中央部には一応スーツケースなどの荷物収納スペースが設けられている。3両編成で定員は約200人。しかしどう考えても収納スペースは少ない。一方、車内は電球色の間接照明を用いるなど非常に落ち着いた雰囲気だ。座席は3人がけで、向かい合わせの形で固定されている。べつにシートベルトなどがあるわけでもなく、特急電車となんら変らないのが正直な印象だ。
4、 モーター音も高らかに
   
  10:05AM発車。起動時の音は結構うるさい。新幹線のモーターのある車両にのったときのそれに似ている。小刻みな振動を拾いながら、速度はぐんぐん上がっている。(その時の音を30秒ほど録音しました。ここから)飛行機が離陸するときのように力を受けるのかと想像していたが、べつにそうでもなく、また浮いているという感触も無く、これなら本当に新幹線と変らないのでは・・・、
というのが筆者の正直な感想である。しかしものの20秒もすれば時速100キロに。この加速力はやはりすごい。車内の電光掲示板には速度が刻々と表示されている。
 10:09最高時速430キロ あっという間である。窓の外をみると併走する高速道路の車がグングン後ろに飛んでいく。とにかく速い!しかし…、たった30キロの全行程なので、最高速度を出してものの数秒、すぐに減速体制にはいっていしまう。鉄道のようにレールの継ぎ目を拾う音さえ聞こえないものの、小刻みな振動とモーター音は途切れない。とくに低速度の段階ではこのモーター音が大きくなる。
 10:15浦東国際空港駅到着。空港ターミナルを右手に見ながら、列車はゆっくりとホームに滑り込む。 列車は基本的に無人運転が可能で、龍陽駅の地上のコントロールセンターから制御することになっている。もっとも現在は欧米人の技術者も乗り込んでおり、データなどの分析をおこなっているのだろう。
 10分ほど停車した後、列車は反対方向にまた龍陽路へ折り返す。
 ここから車内では取材、インタビュー合戦がはじまる。乗客に有名な「幹部」クラスの人が多いみたいで、彼らのインタビューの応答を聞くのも楽しい。というか、私はすごく中国らしいと思った。その答えは、江沢民の三個代表思想…などなど政治の話とこの「科学技術成果」をうまくドッキングさせ、それこそ模範的な回答をアドリブで作り上げてしまう。そして今度こそは自分達の力でリニアを、というようにつながる。
 往復で20分足らず、無事龍陽路駅に到着。ここで再び先頭部にいって、流線型の車体を見てみる。よくみると先頭部の白い塗料に血痕が…。おそらく未曾有宇野速さに鳥が避けきれなく、飛び込んでしまったのだろう。
   
5、 最後に
   
 1月2日付の『人民日報』には上海のリニアの意義についての記事が載っている。そのなかで、まだ中国政府も北京―上海間約1300キロでのリニアの運用を可能性の一つとして挙げているようだ。鉄道方式か、リニア方式か、まだ討論させる余事を残しており、鉄道式に傾きあるつつもまだ結論を出しきっていないのが現実だ。その一方で上海―杭州など長江デルタ地帯での高速ネットワーク確立のために、リニアも検討段階に入っているという。一方で、庶民の収入からすればまだ高いチケットの値段もこれから解決しないといけない問題だ。その意味で、上海のリニアが今後どのように運営され、どのように発展していくのかは見ものであり、日本の今後の高速リニア化構想の参考になるのには違いない。2003年1月11日取材

(山之内 淳)



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