2010年、上海万博を探る(2)/FEATURE

2010年、上海万博を探る(2)

上海万博のビジョン
1、 開催予定時期
  2010年5月〜11月、約180日間
2、 直接予定投資額
  30億米ドル
3、 予想入場者数
  43000万人から7000万人
  (予想にかなり開きがある。)
4、 開催予定地
 黄浦江中流にあたる南浦大橋と盧浦大橋をはさんだ浦東、浦西地区。総面積400ヘクタール、そのうち浦東地区は260ヘクタール、浦西地区は50ヘクタール、駐車場、バスターミナル用敷地が60ヘクタール、万博村用地が30ヘクタールとなっている。パビリオンの総面積は24万平方メートル、また浦西と浦東は黄浦江では始めて歩行者専用の「花橋」が渡される。万博の関係で浦東新区上鋼街道南村など8500世帯25500人が立ち退きする。

同時にこの地区は上海の近代工業を支えてきた歴史的に価値ある遺産が多いため、保存される工場や旧居もある。すぐ近くにユニバーサルスタジオの計画が発表された。2003年に工事が開始され。2006年には一般公開される見込みだ。第一期工事面積は世紀公園(140.3ヘクタール)の約5分の3の規模。
5、 設計思想
 1999年に設計案のコンペが行われている。当時、フランス、オーストラリア、ドイツ、日本、イタリア、もちろん地元中国などが参加した。結果フランスのArchitecture Studio社(http://www.architecture-studio.fr/)の作品が選ばれた。またしてもフランスが、というほど上海の著名な建築物にはフランスの設計者のものが多い。
 会場となる「上海世博園」の設計者はArchitecture Studio社 のMartin Robain氏の作品だ。Martin Robain氏は1943年フランス生まれ、1973年にArchitecture Studioを設立、代表建築物にフランス、ストラスブールの欧州議会などがある。現在約80人の設計師を抱える。
 全体イメージは次のようになっている。
図の解説
@ 楕円形の運河
A 浦西の入場門
B 花橋
C 各国のパビリオンが集まる地区
D 中国パビリオン
E 植物回廊
F 浦東の入場門
G メインテーマのパビリオン
 特色は何といってもBの橋であろう。長さ600メートル、幅50メートル、一番高いところで高さが200メートルある。会場のシンボルとなる橋で、歩行者専用、車は通ることができない。橋からは黄浦江の両岸が見渡すことが出来、また売店なども設置されることになっている。高さ200メートルの橋は遠くから見ると虹のようで、橋の両端には花が植えられ、橋の中心では花の絨毯が空高く舞い上がるデザインはまるで空中庭園を髣髴させるような設計になっている。橋を渡ったところには大型広場が設置され、その面積は6万平方メートル、付近には2500席の大会議室を持つ国際会議場、中国パビリオン、野外劇場などが設計されている。
 浦西、浦東どちらの会場も、黄浦江に浮かぶ人工島のような設計になっている。すなわち会場の周りを@の楕円形の運河が巡り、この運河自体が舟を使って会場にアクセスするルートになり、人々が黄浦江とより身近に接することが出来るようになっている。上海の母なる河「黄浦江」を再現した形だ。
 そして3つめの特色として設計されているのがEの植物回廊だ。黄浦江を縦に横切る方向で進む緑の回廊は、河辺へ向かうアプローチとなっている。緑が茂る回廊は自然と都市との融合を目指し、全体で緑豊かな公園を形成することになる。都市の中心からその外側へ伸びるイメージだ。
 各パビリオンは各国の国際パビリオンを黄浦江の東岸に放射状に設置する。総建築面積は30万平方メートル、約200カ国を超える国々からの出展を収容することができる。
 その他、水族館や360度の迫力で楽しめる映画館、体育館などが設計に盛り込まれている。
 Martin Robain氏はマスコミの取材に対して、「パリは19世紀の世界都市であり、ニューヨークは20世紀の世界都市、21世紀は上海が世界都市になる。」と語っている。また建築家にとって、万国の建築物が集まる上海は天国であり、万博をきっかけに多くの人がテーマ「Better City Better Life」を感じ取って欲しいとしている。
6、 鼻息の荒い万博効果

 万博が決まるや否や、さっそくさまざまな経済効果を論説するニュースがあちこちで出ている。商売好きな中国らしい。万博の効果で、2010年の上海の市民一人当たりのGDPは予測より3年早く1万米ドルを突破するという試算も発表している。
 また中国各地、世界各国からの観光客の数にも目を離せない。2001年に上海を訪れた観光客は200万人を突破し、今年は11月にすでに250万人を突破している。このまま順調にいけば2010年には400万人突破も可能ではないか、と旅行業界では見ていたが、これにのべ5000万人とも言われる万博の効果が重なり鼻息が荒い。そのため政府ではさらに200億人民元を投資して交通や通信などインフラや、サービスの分野などの整備を進めるという。その中に北京―上海間の高速鉄道、高速道路建設、空港の整備など、人が余り気味で失業問題が社会問題になっている上海にとっては新たな起爆剤としての期待が高い。
 しかしただでさえ交通が渋滞し、環境の汚染が広がり、生活するうえではまだ決して快適とはいえない上海。世界的に環境保全への意識が高まる中、国際として発展する上海はその明らかな方向性を示さなくてはならない。これから2010年の上海万博に向けて、次回最終回は、「上海未来予想図」ということでこれから行われるさまざまなプロジェクトを紹介する。(山之内 淳)



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