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日本の農産物を追う(2)

~地方活性化のカギは上海にあるか??~



(※本レポートでは、農産物は日本の地方物産という定義であり、農産一次品、農産加工品いずれも含む。)

<連載内容>
連載は全4回です
第1回 上海のいま…市場の概況と、輸出可能な農産物
第3回 上海で売れるためには…課題と成功要因


○農産物輸出を広い視点で見る
 前回のレポートでは、上海の現状と輸出できる農産物について記した。今回ははじめに、輸出にあたってどのような関係者がおり、どのような活動を行っているのかを見ていきたい。
 概要として、以下の図をご覧いただきたい。(筆者作成)

 図は商品の流れを元に、どのような関係者が農産物輸出に関わるかを、おおまかに示したものである。図中の逆三角形は、商品の継続的な販売に至るまでに、かなり商品数が絞られることを意味している。
 そして、農産物輸出に関わる人々は4種類に分類できる。日本国内にいる生産者・メーカー。貿易面では、貿易会社・商社と、マーケティングなどの指導を行うコンサルタントがいる。なお、直接輸出も行う生産者もまれにいる。流通・販売面では小売店、日本食レストラン。そして、農産物輸出の戦略を構築し、こうした人々をサポートする行政である。

 第2回目のレポートでは、「農産物輸出が日本の農業や地方活性化に役立つのか」を確認すべく、関係する政策や行政の動きを取り上げる。

○「平成25年までに輸出額1兆円」
 上海新国際展覧中心。いわば東京ビックサイトや幕張メッセにあたる大規模な展示場である。ここで、毎年2回世界規模の食品展が開催される。5月に開かれるのはSIAL、11月のものはFHCという名称である。中国での販売を目指し、世界各地から様々な食品が集められる。

新国際展覧中心の様子 JAPAN PAVILIONの様子

 この一大イベントにて、日本の食品メーカー団体が集まるブースがある。その名も「Japan Pavilion」だ。このブースの設置を支援しているのが、農水省を中心とした行政である。本来、展示会や商談会は企業単独では出るのが難しい。そこで行政が資金援助を行うなどして、積極的に販売促進に手を貸しているのである。

 近年海外への農産物・食品輸出が盛んであるのは、国家的な目標によるところが大きい。それは、安倍政権時に日本の農業振興のために策定された「平成25年までに、農産物輸出を1兆円に伸ばす」というものだ。この目標のもと、輸出のスキームや戦略が構築されている。最近は「おいしい」キャンペーンを展開し、積極的に輸出拡大を進めている。(詳しくは、「農林水産省/輸出促進対策のご案内」を参照)では行政は実際に、輸出促進と地方活性化にあたり、どのような施策をとっているのだろうか。
 今回、支援の拠点ともいえるJETROと、自治体では高知県と福島県の事務所に取材を行った。  

○JETROの役割
 先に述べたように、政府は「農産物の総合的な輸出戦略」を策定し、それに基づき4つの戦略を立てている。(つい先日発表された政府の「新成長戦略」の中にも、輸出戦略が言及されている。詳しくは、新成長戦略について輸出戦略について参照)一方JETROは海外の出先機関として、農産物輸出に限らず多様な機能を担っているが、4つの戦略の内JETROに求められているものは以下の2点である。
 (1)意欲ある農林漁業者等に対する支援
 (2)日本食・日本食材等の海外における需要開拓  

 具体的な機能としては、については海外市場の情報収集と提供があたる。商談会・展示会や消費者向けイベントの開催となっている。
 JETRO上海センターでは、主にでの展示会・イベントの開催を中心に行っており、食品展への出展支援もその一つにあたる。消費者向けイベントとしては、上海もしくは上海近郊の高級デパートで開催し好評を博している。ちなみにこうしたイベントは、観光誘致も兼ねて日本全体の食品を扱うものもあれば、各地方単位で小規模におこなわれるケースもある。
 また、各自治体の事務所と連携して行う支援も多く、最近の事例では神戸、横浜、中部地域(愛知県など)、四国4県のフェアを共催した。さらにJETRO内には、各県単独で事務所を設置するまででもないが、支援が必要だとして各県の事業部が設置されている場合もある。こうした意味でJETROは行政支援を幅広くサポートする役割を担っていると言えよう。

○各県事務所の機能と地方活性化
 上海には日本の自治体の出先事務所がいくつか設置されており、その中には県産品の輸出に力を注いでいる事務所も多い。ここでは特に農産品の輸出に力を入れている、高知県と福島県に焦点を当てる。
 業務内容としてはJETROと同様で、“情報提供等の支援”と“市場の開拓”の2点が挙げられる。ただ各県で取り組みが異なっており、例えば高知県では地場企業へのビジネス面での支援を主な目的としている。高知県は主たる産業が第1次産業である上、農産物に付加価値をつける食品加工業(第2次産業)が他の県と比べ弱い。さらに県内人口が少子高齢化により減少傾向にあるため、「地産地消」だけでは県内の市場と産業を盛り上げることはできない。こうした現状を打破すべく、地場企業の海外展開と同時に、県内の食品加工業を強化したうえで「地産外商」を進めているのだ。

 一方福島県も同様の取り組みを行っているが、ユニークな点として、いわゆる「アンテナショップ」を上海に設置していたことが挙げられる。ただし、福島県事務所ではこの店舗を「チャレンジショップ」と名付けていた。一般的にアンテナショップとは、各県や地方の特産品を都市部で“一般消費者向け”に販売する店舗を意味するが、「チャレンジショップ」は“地場企業”のために存在していた。 つまりこの店舗は、農産物を百貨店・スーパー・日本食レストランに卸すための“仲介役”を果たしていたのだ。“チャレンジ”の結果、なお現在では福島県産食品が上海の市場に一定程度浸透したとして、この「チャレンジショップ」は現在は閉鎖されている。
 なお福島県では、上海の空港との直行便が設定されている。そのため事務所では「観光事業」を展開し、中国人の観光客を呼び込むことも行っている。中国人に県内食品を食べてもらうだけでなく、各県への良いイメージを抱いてもらい、直接県に来てもらう。「観光事業」と「農産物輸出事業」がいわば“地方活性化”の両輪となり、県の経済を浮揚させているのである。

○行政と民間の役割
 以上見てきたように、行政にとって農産物輸出は、日本の農業振興と地方活性化に貢献する重要な事業である。一方生産者にとっては、中国・上海は一見魅力的な市場ではあるが様々な困難が待ち構えている。その困難を取り払い、目標を達成すべく日々健闘しているのがJETROや各地方自治体なのである。

 ただ行政は、輸出の初期段階に必要な情報提供などの支援は厚いが、上海に進出して以降の支援は少ないように感じる。つまり、提供する支援策が足掛かりに過ぎないのである。日本食品を全面的にPRし販売するには行政だけでは人員不足であり、やはり民間の努力が多く求められる。

 初めの概念図にある通り、メーカーはじめ商社・コンサルなどの中間業者、そして最終的な小売業者、飲食店の様々な関係者の努力が実り、「日本食品・農産物」の市場が開拓され、中国人消費者に受け入れられるようになったと言えよう。では、それぞれの関係者はどのような取り組みを行っているのだろうか。そして、どのようにして「日本食品・農産物」を普及させてきたのだろうか。

○次回の内容
 次回は、民間の努力に着目し、上海市場により焦点を当てる。関係各所への取材から、「よく売れるようにするにはどうしたらよいか」という部分について、深く掘り下げていきたい。

○謝辞
 今回の記事編集にあたり、JETROの大橋様、高知県事務所の元木様、岡崎様、福島県事務所の市村様、伊達様には大変お世話になりました。改めて感謝いたします。

(文責:居波晃弘)

居波晃弘氏プロフィール

● 一橋大学商学部4年(現在休学中)

● 上海の企業でインターンシップ中。

● 大学では、サークル・ゼミナールともに地域活性化、商店街活性化に関わる。
 地域ブランドの開発・販売に関わった経験がある。

● ご意見・ご感想のある方は、a.inami17355@gmail.comまでお願いいたします。

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開発・販売に関わった地域ブランド(ほうれん草うどん)







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