城隍廟は豫園の裏にひっそりとたたずんでいる。ひっそりとしすぎて豫園に来た人にも気付かれないことがある。
入場料は10元。外壁には年間行事がびっしりと書かれている。城隍廟は中国道教本家の寺院であり、季節行事などが徐々に復活してきている。
廟内に入るとすぐに、お香のにおいが鼻をつく。大勢の人が線香を手に参拝していて、煙が立ち込めていた。線香やろうそくに点火し、紙銭を燃やす、これが中国の伝統的な参拝方法で、今もまったく変わっていない。
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年間行事
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大殿 |
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古代中国では、町には必ず城隍廟があった。特に明の時代は全国に1472箇所あり、当時はどの町にも最低一つは城隍廟があったのだ。
城隍神というのはその土地の守り神で、平和、五穀豊穣、無病息災、勧善懲悪をつかさどっていた。中国人の心の中でかなり重要な位置を占めていた。
宋代以降、城隍は徐々に人格化し、亡き英雄や名君、忠臣を城隍神として祀ることが多くなった。例えば蘇州の城隍は「戦国四公子」と謳われる春申君で、杭州の城隍は日本でも有名な忠臣文天祥だ。上海も例外ではない。面白いのは上海の城隍神は二人だということだ。
一人は「麒麟閣11功臣」第一位の東漢の忠臣霍光。霍光はかつて上海の川の氾濫を鎮め付近の住民を安心させたということで、特別に廟に祀られたとのことだ。
もう一人は元末明初頭の秦裕伯で、蘇東坡の四大弟子の一人、秦観の子孫だ。元の時代には東海の海岸沿いを治めその政治手腕は高かった。明朝成立後は朱元璋に出仕を請われても、首を縦に振らなかった。秦裕伯の死後、朱元璋は悲痛な声で「生前は私の臣ではなかったが、死して私を守ってくれ」と言い、上海の城隍神として祀ったとのことだ。
一つの廟内に2体の城隍神が祀られているのは、中国でも非常に珍しい。
清の時代、上海城隍廟への参拝が非常に盛んであり、上海の老若男女、誰も彼もが城隍廟を訪れた。上海開港後には城隍廟及び周辺地区では商業が盛んになって市が立ち、城隍廟に行けば大概の日用品は手に入るようになった。かつての中国においては、宗教と生活が一体となっていたのだ。
次に上海城隍廟の建物を見てみよう。「霍光殿」は城隍廟では一番大きく、さすがに第一位の城隍神を祀るにあたり、最大限の敬意を払ったのだろう。
数十年前に霍光の像は坐像ではなく、天井に届きそうなほど高い立像で、伸び上がってやっと顔が拝めるくらいだったそうだ。西漢の名将霍去病、つまり霍光の兄である。
大殿の両側には4体の像があり、どれも黒い防止に黒い僧衣、手には水火棒(半分が赤く半分が黒く塗られた棒。赤は火を、黒は水を表す)を持った門番であるが、威風堂々、見るものを圧倒する。悪者をおびえさせる彼らの存在価値は大きい。かっと見開いた両目と、手に持った水火棒は地面を払っているようで、悪さをたくらんでいるものでも、おののいて脚がすくむだろう。
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門番
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道士による法事
筆者が現地に到着したのは午後4時を回っており、城隍廟の道士たちが読経を始めたところだった。笛を吹いたり、木魚を叩いたりしている道士たちは、道教の帽子をかぶり、青い服を身につけ、町の人々とはまったく違っていた。こんなシーンを見ると中国の伝統文化が戻ってきたような気持ちになる。

廟内神像
「霍光殿」の裏門を出て、しばらく行くと中庭に出る、左が「文昌殿」、右は「関聖殿」だ。
文昌殿には中国の学問の神様「文昌帝君」が祀られており、関聖殿に祀られているのはもちろん「忠義の人」関羽雲長だ。関羽像はだいたいどこでも横向きになっている。本を読んでいる姿が多いので、正面からよりも横向きのほうが雰囲気が出る。
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文昌廟 |
上海城隍のおじさんとしてその名が知れ渡っている秦裕伯は中庭前方の「城隍殿」に祀られている。その赤ら顔は「威風堂々」とした気風をよくあらわしている。

上海城隍神 秦裕伯
以前は毎年7月15日の「中元節」に必ず秦裕伯の像を担いだ神輿が上海の街を練り歩いたものだが、今ではこの習慣はなくなってしまったようだ。
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屋根の塑像―福禄寿三仙人 清代の石碑 |
清代の石碑 |
城隍廟の正門は方浜中路に面しており、以前は旅行者や参拝客がここから出入りしていた。山門の石碑には大きく「保障海隅」と書かれてあり、城隍神がこの海辺の都市―上海の市民を守っているという意味だ。
城隍廟は文化大革命の際に甚大な被害を受けた。神像は破壊され、廟は打ち壊された。1994年に信仰の自由が政策として少しずつ実行されていき、上海城隍廟は復興した。その後6年という歳月を経て、一期工事がほぼ完成した。こうして城隍廟は上海市民の生活の中に戻ってきたのだ。

城隍廟の正門
目隠し塀

Address
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上海市方浜中路249号 【MAP】 |
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地下鉄8号線大世界駅、老西門駅下車
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(2009年8月記)
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