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中国伝統医学の不思議


                   45  秋といえば「梨

  

 ここ数日、上海の天気もめっきり涼しくなってきています。このまま秋に突入というわけには行かないとは思いますが、猛暑が一段落してやれやれです。


 上海の果物市場も、すっかりと姿を変えています。一時期はスイカと桃のオンパレードだったのが、立秋を過ぎたころから徐々に姿を消し、桃はまだありますが、今ではスイカはまず見かけません。変わって登場してきたのが、ブドウと梨。上海市では南匯の桃は全国的に有名ですが、実は梨も有名です。収穫される数が少ないために、なじみがありませんが、実は上海蜜梨というおいしい梨が売られています。今日はこの梨が手に入ったので、梨を使った簡単な薬膳をご紹介しましょう。中医学的にも季節の果物・野菜はぜひ食していただきたいところです。

 

(豫園にて)

 その前に、中医学での秋について少しお話します。

 上海は日本のように四季が比較的はっきりしており、秋といえば気候もすごしやすく、旅行など野外活動には最適な季節となります。暑くジメジメした夏から、気候が徐々に乾燥しだし、体もそれに適応していかなくてはいけません。中医学では夏を発散する季節と考えます。しかし、人体に関しては、昨今の猛暑で汗を出しすぎたりして、いわゆる「夏ばて」の状態のように体が弱り、病気の原因となる病邪が体に入りやすくなります。そこで秋に向けて徐々に陽気を蓄えるように体を持っていく必要があります。そして、弱っていた体から冬に向けて徐々に蓄える体制に入らなければなりません。

 

 では、この秋に体を襲う邪気にはどういうものがあるのでしょうか?季節が徐々に乾燥した状態に移るので、燥邪が秋に盛んになると考えます。燥邪には、温燥と涼燥の2種類があり、それぞれの邪気によって体に現れる症状が異なります。たとえば、温燥に犯されると喉や鼻が乾燥したように感じるし、涼燥に犯されたら咳が出て鼻が詰まり、水っぽい痰が出ます。そのため、秋口に風邪を引いた場合は、夏の風邪とまた違った生薬を配合する必要があるのです。季節感を大切にした中医学ならではの考え方といえるでしょう。

 

 この乾燥した季節によく食べられる食物として梨が挙げられますが、梨は中医学の世界では一般に消化の働きを整え、肺を潤すことができる果物とされています。さらに、咳を抑え、喉を守る働きがあるともいわれています。そんな中でも、子供が気管支炎などで咳が続く場合の食療法として、梨を使ったシロップがあります。甘くて美味しいので、小さい子供でも嫌がらないでしょう。上海では一世代ぐらい前の親ならほとんど知っている方法ですが以下にご紹介しましょう。私もちょっと喉の調子がよくなかったので、実際に作ってみました。


「氷糖燉梨子」

1.いろいろな種類の梨が売られていますが、この食べ方ができる梨は「蜜梨」という種類です。比較的日本で売られている梨に近いタイプがこの「蜜梨」まず梨の上部の皮をうまく切り取ります。

2.種などがある芯の部分は苦いので、果物ナイフなどをつかって中の芯をくりぬきます。くりぬいた中に氷砂糖の塊を入れます。大きい塊なら3個ぐらいで十分。干しブドウなどを入れてみても美味しいかも。

 3.その後、蒸します。私はいつも大きめの鍋に少し水を張って蒸します。金属製の台がスーパーに売られていますので、これを使うと簡単です。20分から30分ほど蒸すと完成です。

4.完成した梨は水晶のように透き通っています。もちろん梨全体を食べることができますが、煮汁も忘れずに飲んでみてください。いずれも喉に優しい食感です。朝夕に1個ずつ食べてもOK.です。

山之内 淳 )


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