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中医沙龍〜中医薬大学の教室より |
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脈を診る |
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この時期、病院で患者を診察しているとやはり風邪をこじらしている患者が圧倒的に多いです。上海人の多くの患者は家庭に抗生物質を常備していることが多いため、病院に来る患者はたいてい薬を切らした人、そして抗生物質を服用しても効き目のない人などですが、私は彼らには中薬を服用してみることを勧めています。意外と中薬をはじめから馬鹿にして飲もうとしない上海人が多いですが、服用して効果がある場合も多く、無視するわけにもいきません。そして患者が来たらまず我々がする動作は脈を診ることから始まります。脈をとりながら患者とコミュニケーションをとる場合が多いです。それだけ中医学では脈の役割は大きいと言えます。脈で分かった情報を患者に伝えると、「そうだそうだ。」と納得し、より一層我々の意見を聞いてくれるようになります。では脈診とは何か、今回はこれにスポットを当ててみます。 中医学を使って病気を診断する時に、「望、聞、問、切」という4つのプロセスを踏むことは大抵の中国人なら知っています。望とは患者の皮膚の色や、状態、舌の様子、精神や意識の状態を観察することを指し、聞とは呼吸や声などの様子を聞き、同時に患者が発する臭いなどを観察することを指し、問とは病人に対してさまざまな問診をすることを指します。そして切とは、脈に触れてその状態の変化から体のどこにどんな病気があるのかを理解します。そのため中国語では脈を診ることを「切脈」という表現をします。あくまでもこの4つの情報を総合して診断を下すわけですから、脈だけですべてが分かるというわけでもありません。超音波やX線、心電図もない古代人にとって、これは体の中の様子を知る手がかりとして画期的なものであったわけですが、もちろん医者の感覚に頼るところも多く、そこからも絶対的というわけにはいきません。しかし脈の動きには一般的に以下の24種類が定義されています。それぞれ浮、沈、遅、数、?、洪、滑、渋、弦、緊、伏、促、代、革、実、微、細、柔、弱、虚、散、緩、動、結、表現します。
寸口診法とは左右の手首にある橈骨茎状突起と呼ばれる場所にある部分の動脈の鼓動を観察するものです。ではなぜこの場所の脈を取ることで全身の五臓六腑の状態が分かるのでしょうか。ここでは一般に鍼灸で使う経絡やツボの理論を使って説明します。経絡とは血や気が体中を走る経路であり、臓腑を連絡しあい、全身に網の目のように張り巡らされています。実はこの位置にその経絡の中でも手太陰肺経という経脈が通っています。これは中焦という腑を出発し、大腸、横隔を通って肺とつながると腕を通って親指の方へぬけていきます。臓腑のすべての気や血は必ず肺に集まる「肺朝百脈」という理論から、この手太陰肺経という経脈は臓腑の生理病理状態を知る上で非常に大切だと分かります。そのなかでも橈骨茎状突起付近にある動脈が脈打つところには太淵とよばれるツボがあり、ここは「八会穴」と呼ばれ、臓腑気血筋脈骨髄の8つの気が集まる場所とされています。従ってこの寸口という場所は非常に大切だとわかります。でもこれだけでは非常にあいまいです。そこで歴代の医学者たちはそれぞれの臨床経験からさらにこの寸口という脈の部分を親指側から寸、関、尺と3つの部分に分けました。
部分: 寸 関 尺 ということになります。これは現代の中医学でも広く使われており、この脈の各部分の位置は非常に重要です。この位置を基準にそれぞれ臓腑の脈の動きの違いを医者は指先から感じ取り、上記の24種類の脈に分類し、そして診断の参考にします。 実際問題、診断をするときにどの程度脈診を使っているかは医者の癖もあり一概には言えません。あくまでも相対的なものであるという意見がほとんどです。しかし医者が思考した「証」が正しいかどうかを確認するためにも、脈はやはり役割を果たしています。一般的に、脈診だけで病気を当てるというようなことは非常に難しいのです。
(山之内 淳)
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