中医沙龍〜中医薬大学の教室より〜

六腑編 1.体の上下水道 あなたは詰まらせていませんか?

〜 胃、小腸、大 腸、胆 〜


 中国では今が期末テストの真っ盛りになります。この期末テスト、各大学によっていろいろなカラーがあるのですが、私のところではさしずめ過労で倒れる学生が多いのが特徴ではないでしょうか?今年は特に目立ち、腹痛で救急に運ばれるものや、血糖値が異常に下がって倒れて救急車で運ばれるものや嘔吐するものやいろいろいました。なんせこの時期、どの学生も徹夜や不規則な食生活をするわけですから、とんでもないことです。大学に入学するのは大変ですが、ここでは卒業するのも結構大変です。体力と気力をいかに保つかが大切です。

 さて、前回までは5回に分けて五蔵、つまり心、肝、脾、腎、肺について説明しました。今回から2回は五臓六腑の最終回ということで、六腑についてみていきたいと思います。
 六腑は五臓と比べると現在の私たちにとってはあまり馴染みが無いのではないでしょうか。胆、胃、小腸、大腸、膀胱、三焦の6つが当てはまります。これらは共通して食物などを下部へ送り込む管の役割をします。例えば食べ物が口から取り込まれると、まず胃に入ります。その後小腸に進みますが、その中で人体に必要な物質はに送られ、そこから全身を巡ります。必要のない物質は、小腸から大腸に移り、肛門から排出されます。一方で肺、脾を通ってきた水分の余分なものは、大腸、から膀胱に送られ、その後尿として排出されます。おなじみ漢時代に書かれた《黄帝内経・素問・五臓別論》に"水谷入口、即胃実而腸虚、食下、即腸実而胃虚。"という一句があります。つまり胃が詰まってしまうと、腸が空っぽになり駄目だし、腸が詰まってしまうと、胃が空っぽになってしまい消化に影響をもたらすとあるように、物をためておくという蔵とちがって、腑は管のようにいつも下にむかって物が通れるようにしておかなくてはなりません。

●胆…なんといっても胆汁をだす重要な作用があります。ここの胆汁とは緑黄色の苦い液体をさしますが、肝臓の作用によって胆汁を小腸に運び消化を助けます。もし胆汁が正常に巡らなければ、黄疸や黄色い液体を嘔吐したり、脇腹が痛くなったりします。日本語で「胆っ魂」という意味で中国語では「胆子」という言葉がありますが、その言葉のとおり中医学の胆には 物事を決断する心理作用があるとします。そのため胆が虚の状態であるとき、容易に物事に驚きやすい、というようなことが起こると考えるわけです。

●胃・・・・胃の気は生理状態では気を下にさげるという作用があります。食べ物はその気の流れに従って、消化され、小腸へ運ばれていきます。その胃の気が逆に上部に逆らってしまった場合、ゲップやシャクリ、嘔吐などの症状があらわれます。また消化の状況は胃の気の陽と陰のバランスで決まります。例えば、陽が陰より強い場合、胃の活動が異常に高まり、食欲が旺盛になるほかに、口が臭くなるとかの症状が出てきます。また胃の気は食べ物が比較的初期の段階で出会うプロセスであるため、特に胃をいためる生薬に関しては生姜、棗、甘草などを利用して胃の気を守る処置をします。

●小腸・・・・習慣上、中医学では小腸と胃はひとつのものとみなすことが多いようです。食物を胃の働きから継続して、人体に必要なものと老廃物に分ける働きがあります。

●大腸・・・・大腸の上段を回腸、下段を広腸とよびます。大腸の末端を肛門と言うところは今でも同じですね。主に津液と呼ばれる水分を吸収し大便を作る働きがあります。もし乾燥しすぎると便秘を起こし、伝達に問題が生じると下痢がおこります。排便時には肺の働きを忘れてはいけません。特に老人性の習慣性便秘の場合、中医学では肺の力が弱まって、便を押し出すことができない、という考え方をします。鍼灸にしろ、生薬を配合するにしろ、単にお通じをよくする方法を取るだけでなく、肺の気が充実するように気配りをしなければなかなか解決しません。

 今度は膀胱、三焦、そしてすこし変わった腑として脳と女子胞について書いて行きます。。その前に次回は私の友達の病気で私がこの目で見た老中医の漢方薬を使った治療法の一つをご紹介します。

(山之内 淳)


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