| 中医沙龍〜中医薬大学の教室より〜 |
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8月に入り、筆者も病院での実習の為に上海に戻って参りました。 空港に着いた時のあの暑さと湿度で眩暈がしそうです。さすがに何年いても慣れません。ところで夜になると上海人は夕涼みにアパートの前や、公園の他にも道路の陸橋の上まで椅子を持ち出して、食事やカードゲームを楽しんでいます。これぞまさに上海の暑さをしのぐ秘訣の一つなのでしょうか。
さて今回は五臓六腑シリーズの二回目として肝を紹介します。 @肝蔵血・・・肝は一般に一定量の血液を貯めることができます。とくに体が静止しているときに多くの血液が肝にもどってきます。そこから必要時に全身に血液を体の各部分に分配させます。しかし血液は陰と陽に分類した時に陰に属します。従ってこの功能に問題が生じ、血液の供給が滞った時、体の陰が不足し、陽が飛び出る形になります。したがって体全体に変化が生じます。例えば、怒りやすい、顔面や目が赤く腫れるのもそのためです。貯められる血が不足するので、月経の量が少なくなり、ひどくなると月経が無くなってしまうこともあります。また陽がもっと強くなると、いわゆる「火」が生じるような状態になり、血を吐いたり、鼻血が出たりします。この状態を中医では「肝火上亢証」の範疇に入ります。 A肝主疏泄・・・肝と気の流れ、いわゆる"気機"と、血の流れとは非常に密接な関係が有ります。もしこの功能に問題が生じると、全身の気の流れに障害が生じ、例えば胸がなんとなく詰まった感じがしたり、情緒が不安定になったり、女性なら乳房が痛んだりします。またよくため息をつく人を見かけますが、これも肝の功能に障害が生じたために気の流れが滞ることによります。 緊張したときに起こす下痢や嘔吐もこれに関連します。つまり肝の気がうまく流れなくなり、それが体内に固まってしまい、それが付近の消化に関する臓腑を犯すわけです。もちろん体の中の、ほかの液体の流れにも大きな影響をもたらします。もしそれらの液体の流れが肝働きの低下などにより滞ると、それらが痰をつくり、体の至るところに溜まるようになります。そうすると女性などによく起こる"梅核気"という喉に詰まっている感じがするのに、実際は何も原因が見あたらないといった症状が出てきます。 その他、生殖器に関しても肝は非常に大きな役割を果たします。性欲の調節、男性なら勃起、女性なら月経と深く関わり有っています。 したがって、ストレスなどで 肝の働きが抑止されると、生理不順が起こるのもこのためです。 B疏調情志・・・以上からも分かるように、肝と心理状態とは非常に密接な関係を持っています。肝は人間の欲求を調節する働きも持っています。これが情緒の安定と深く関わっています。それが体の気の流れに影響をもたらし、その気の流れが上手くいくと、心と体の両方がうまくバランスを取れるようになり、結果的には欲求の実現を導くとします。 中医学では多くの場面で肝と情緒の問題をセットで考察します。現代人は日常生活でとにもかくにも肝を酷使しています。また現代医学と組み合わせると、一種の高血圧は、まさに中医学の、肝の功能の不調によるものと非常に似通っています。またお酒を飲みすぎると目が赤くなるのや、感情の急変などで涙が出てくるのも、肝が私たちにSOSを訴えている大切な根拠になります。簡単に肝の調子を調べる方法をご紹介しましょう。各自の指のつめをご覧下さい。このつめは中医学では肝からの血液により潤っていると考えます。色があまりにも薄い人や、指の根もとの白い部分が少ない人は、すこし肝を労わってあげてください。 では次回は食欲や疲れと深く関わっている脾についてご紹介します。
(山之内 淳)
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